どこかの物語3
前回からの続きです。
4足歩行の繋がれた人達を尻目に
僕はあてどなく進んだ。
僕は逃げる事には成功したけれど、
一体どこに行ったらいいのかわからなかった。
ここではないどこか
そこを目指してはいたが、
一体それがどこにあり、どんなところなのか、
僕は知らなかった。
腕の手錠も外せないまんま、
僕はただ歩き続けた。
途中で今度は小さなこどもたちを見かけた。
彼らは2足でしっかり立ち、
みんな走っていた。
なぜならみんな追われていたからだ。
小さなこどもたちが何故追われているのか
そんな事はわからなかった。
こどもたちは『いやだいやだ』と口々に言い、
追いかけてくる大人は手錠を片手に彼らを追い回していた。
僕ももしかしたら、
こうして走って逃げていた頃があったのかもしれない。
そして捕まったのかもしれない。
でもそれはわからない。
何故なら
彼らくらいの頃の事は覚えてはいないし、
気が付いた時には、
手錠をされて奴らに見張られていたからだ。
僕は遠くから彼らを傍観して
そんなことを思った。
でも何も思い出せはしなかったし、
ここではないどこかへの手掛かりも掴めなかった。
僕は歩いた。
河は段々に深くなっていった。
僕はそれでも歩くのを止めなかった。
一歩踏み出した時だった。
ガクンとした感じがした。
踏み出した僕の足はどこにも着かなかった。
地面を感じなかったのだ。
僕は沈んで行った。
つづく
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